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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「ぶどう園のある街」 最終回

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「結婚していたのでしょうね、子供がいたのですから・・・今は思い出せません。ゴメンなさい」
「ううん、謝らなくていいんですよ。ゆっくりでいいから、昔の記憶を取り戻しましょうね」
「ありがとう、ご親切に・・・ねえ?どうして私のことを知っていたの?」
「今言ったじゃないですか。ここで小さい頃に良く会っていたからですよ」
「違うの!小さい頃に会ったぐらいで大人になったあなたが私を解るわけが無いでしょ?違いますか?」
「雅子さん・・・そんなふうに考えられるのに、思い出せないのですね。大人になってから再会したんですよ、この場所で」
「再会した?偶然に?」
「そうです。ショコラちゃんが覚えてくれていたんです。母を車椅子で散歩させている途中でクンクン泣き出して、傍に寄ったら尻尾を振ってペロペロ舐めてくれた。それを見て雅子さんが美也子!って声掛けてくださったんですよ」
「そうだったの・・・ショコラちゃんがあなたを覚えていたと言うのね・・・」
「犬ってすごい記憶能力だと思いました。嗅覚が鋭いから私を見つけることが出来たのでしょうね」
「あなたのこときっと・・・麻美と思っていたのかも知れないわ・・・匂いは違っても、同じような雰囲気がショコラちゃんに感じられたのよ。
私と同じように麻美が亡くなった時に悲しくてずっと泣いていたからね・・・」