「仮面の町」 第十一話
帰り道に弘一は警察署に寄って優子の同級生の陽子に会いたいと思った。協力をしてくれた礼を言ってないことと気になることがあったから話したかった。
優子は陽子を呼び出して弘一と三人で喫茶店に入った。
「すみません、呼び立てしたりして・・・」
「いいえ、構いませんよ弘一さん。優子とは仲良くなさっているのですね?」
「ええ、結婚を考えていますから」
「そうなんですの!素敵ね優子・・・羨ましいわ、優しそうでいい人じゃないの」
「ありがとう。同じ会社に弘一が勤めていてラッキーだったわ。違う会社だったら出逢っていなかったから・・・ね」
「もう・・・のろけちゃって、ご馳走様。ところで話しがあったんでしょ?」
「そうなんです、陽子さん。実は今総合病院へ行って来て、例の事故の検死をした担当医と会ってきたんです。それでね、死亡原因に大きく関わる身体の損傷を事故と照らし合わせると、やっぱり車の方から追突したと言う結論になるんです。それなのに警察は遺族に
バイクの方が追突してきたと報告したんです。山崎警部はそのことを認めました。そしてやっぱり真実を語らないと自分の警察官としての誇りがなくなると協力してくれることになったんです」
「そうだったの・・・山崎警部がねえ。でも、署長を始め上官は全員いまさら蒸し返すことには反対するでしょうね」
作品名:「仮面の町」 第十一話 作家名:てっしゅう