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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「仮面の町」 第十一話

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「多分ね。山崎警部の立場も危うくなると思います。それでお願いがあるんです。あなたが見たという山崎さんの手帳を預かることは出来ませんか?」
「手帳を?警部のものよ、私が何故預からなければいけないの?」
「ええ、まずですね、証拠になる現場の様子が記録されていることが重要なんです。上官にそのメモを破棄されてしまう懸念があります。
近々、警部は何らかの方法で上官もしくは久能肇に状況が変わったことを伝えることでしょう。その後で署内で彼の身辺に関わる書類やメモ書きなどが処分される恐れがあると思うんです。これは予想ですが・・・そうなってしまってからでは遅いので、陽子さんにお願いするんです。警部には内緒で、手帳を隠してくださいませんか?」
「断って預かるんじゃないの?」
「あなたの協力は警部には内緒にしておきたいんです。これは理由があります・・・今は言えませんが、そうして頂けませんか?」
「私が盗んで隠すということよね?」
「まあ、そういうことになります」
「署内で泥棒を働け、と言うのね・・・」
「辛いでしょうが、大切なことなので・・・お願いします」
「天木さんって・・・何を考えているのか解らない時がありますね。優子には本当のことを全部話してくれているんでしょうね?」
「もちろんです」
「だったら・・・いいわ。協力します」
「ありがとうございます。今までのことにも重ねて感謝します」
「いいのよ、優子は親友だから・・・」