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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「哀の川」 第二十八話

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遺書には、流産への絶望と生きる勇気がなくなったと書いてあった。父親は夫との子供が流産したのが残念といっていたが、母親は、このメモから、子供は純一との間に出来たと察知していた。環の父親への申し訳なさと、大切な思い出の人の子供を亡くしたショックの両方で自殺に追い込んだ様子であった。母親が電話で話した、親身に考えてやれなかった・・・とは、娘の悲しさを知ったからであろう。

純一は話を聞き終えて、もう堪えられなくなり、泣き出してしまった。一緒になって母親も泣き出し、二人は共に環の無念さと哀しさにどうしようもない無力感を覚えずにはいられなかった。ここにも哀しみの川が流れていると純一は好子のときや美津夫のときと同じ感傷に身を切られる思いであった。