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てっしゅう
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「哀の川」 第二十八話

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上野を出たスーパー日立は90分で目的地に着いた。山本家は葬儀を終えて一段落していた。純一を快く出迎えてくれた母親は、仏壇の前に案内してくれた。手を合わせ、線香を点し飾られている環の写真をじっと見続けた。信じられない気持ちでその場を離れられなくなっていた純一に声をかけてくれた。

「純一さん、ありがとうございます。こんなところまで来て頂いて。さあこちらへどうぞ」仏間の隣にある座敷に案内してくれた。座敷机の上にいくつかの環の遺品が並べられていた。母親が懐に忍ばせていた環のメモをそっと見せてくれた。そこには、あの日のことが綴られていた。読み返すまでも無く純一には鮮明に記憶が残っている。なぜ環がこれを書き残していたのか不明だが、母親だけのものになっていることが救われた。結婚している夫が見たら大変なことになるからだ。

「環は、交通事故に遭いました。たいした怪我ではなかったのですが、お腹を打ったらしく、病院で流産してしまいました。そのことが解ったら、激しく泣き出しまして・・・後は誰とも口を聞かず、いつものように病室へ尋ねていったら、居なくて。医師や看護士さんと探しましたが、近くの池に身を投げたようです。通りががりの人が見つけてくれて、もう手遅れでしたが、遺書がありました」