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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「哀の川」 第二十八話

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「生徒の斉藤です。環先生お願いします」
「斉藤さん・・・環の母です。環はまだ戻りませんが何かご用でしょうか?」
「いま、先生から元気の無い声で電話があって、途切れてしまいましたから、心配でかけ直したんですが、戻られましたらお電話いただけますようにお伝え下さい」
自分の家の電話番号を伝えて切った。

純一に山本家から電話があったのは数日後だった。
由佳も心配して毎日のように電話が掛かってきたか尋ねてくれていた。
「環の母です。先日は電話していただきありがとうございました」母親の声が涙にむせんでいるように聞こえた。
「環は・・・環は・・・亡くなってしまいました・・・」それから先は泣き声だけに変わった。
「なぜですか?事故ですか?あんなに元気に話していたのに・・・辛いでしょうが、教えてください」
「・・・純一さん、でしたよね?娘の遺品を整理していましたら、あなたへのメモがありました。お世話になったようで・・・ありがとうございました。私たち夫婦は本当に娘の幸せを考えてやれなかったことが、悔やまれます」

純一はもういてもたってもいられなかった。すぐにそちらに伺うと言い残して、直樹と麻子に理由を話し、上野駅に向かった。由佳には学校を休むと伝えた。