俺とみこの日常 9話
蒼大、みこサイド
「よし、落ち着いたか?」
「うん」
「……アレ?まりちゃんは?」
「え?」
周りを見渡してみるが、誰もいない。
…机の上に、メモ発見。
『優美捜しに行ってきます。捜さないで下さい。 まり』
…まりちゃん…。
「…俺達も行こう」
「…『捜さないで』って書いてるよ?」
それに、多分…。
「でも、1人より3人の方がいいに決まってる」
そーくんが玄関のドアを開け、一歩踏み出す。
その瞬間。
ネバッ
泥棒対策マット、再臨。
「うわっ」
足が絡まり、派手にこけるそーくん。
↓
偶然、通りかかる拓哉くん。
↓
そーくんをガン見する拓哉くん。
↓
マットをはがすのに一生懸命で気付いてないそーくん。
↓
あ、拓哉くん接近。
「ねえ、君」
「ん?」
そーくんが拓哉くんの方を向く。
拓哉くんの顔を見た瞬間、あからさまに嫌そうな顔をした。
ちなみに、あたしは今、今の窓から様子を見ている。気付かれてる様子はない。
「もしかして蒼大の知り合い?」
「そ、そ、そうなの」
「今、蒼大居ないの?」
「わ、わからない、なー、い、今来たから」
さっきからものすごい棒読みだ。っていうか、足のマットにはつっこまないのか?
「ん?どうしたの?そのマット」
今気付いたんかい!もっと早く気付け!
「玄関先に置いてあってとれないの、拓哉、助けて」
あ。…そーくんのバカ。
「?なんで俺の名前を?」
そこ気付いた?やっぱり?…多分、太郎なら気付かない。そういう子だから。
あからさまに『やっべ!』という顔をするそーくん。…ポーカーフェイス、苦手?
「そ、蒼大に聞いたことがあるから…」
あ。そーくんのバカ。
「?今来たんじゃなかったの?」
拓哉くん…案外鋭い。
っていうか話を聞き流してない。
「す、数年前に聞いてそれで…」
「?君、今5歳くらいでしょ?…覚えてるものかなぁ?」
しつこい。拓哉くん結構しつこい。
というよりめんどくさい。
「仕方ない…」
助けに行ってあげよう。
ガチャ
「あれ?一美ちゃん、来てたんだー」
そーくんがあたしの方を振り向く。ちなみに一美とは、今、適当に出てきた名前だ。他に他意はない。
「おぉ、みこ、いいところに!んで?ひとみって誰?」
あ。そーくんってほんと…。パニくると全然…。ねえ?
横目でちらっと拓哉くんの方を向く。
「?みこちゃん、この子誰?」
…もういいよね、言っても。
「そーくんです」
作品名:俺とみこの日常 9話 作家名:ざぶ