俺とみこの日常 9話
「さて、優美ちゃん」
「何?」
「そーくんは襲わないで」
「え?」
「あなたにそーくんは渡さないから」
「…」
「分かった?」
優美ちゃんが、身体を震わせ、喋る。
「ははっ、何言ってるの、みこ。あたしはそーくんちゃんに気はないよ?」
「知ってる」
「優美ちゃんの好きな人、知ってる」
…今、優美ちゃんの目の前にいる子…つまりはあたし。
知っている上での発言。
「え?」
つまり、優美ちゃんの好意には答えられない。
「だからこうも言っとくね。あたし…いや、天野みこも渡さないから」
「…ッ!」
ガラッ!
…走って、どこかへ行ってしまった。
が、漫画とかでよくある、『追おう』という気にはなれなかった。
優美ちゃんをふって、さらに好きな人発言。
…追って、何を言えというのだ。
「…みこ……」
「優美ちゃん、どうしたんだ?」
耳栓を付けているそーくんだけ、現状理解が出来てない。
「ああ、ごめん、外し忘れてた」
そっと、そーくんの耳から、耳栓を外してあげる。
「何があった?」
「…ごめん」
「あぁ、いや、言えないならいい、無理すんな」
「…ごめん」
「いいって」
そーくんはそう言いながら、あたしの頭をなでた。
…頭をなでられるのなんて、初めて…。
作品名:俺とみこの日常 9話 作家名:ざぶ