スリリングな夢
8
爆発音と共に強烈な爆風に目覚めた俺は、見覚えのある部屋の中にいた。
飛んできた幾十もの何かの破片が俺の身体に食い込んでいる。
ポケットをまさぐると、ネルの布に包まれた「赤い彗星」と呼ばれる特大のルビーが、俺をあざ笑うかのように輝いていた。
思わずボールペンを探したが、細長いモノはワリバシさえも出て来ない。
そういえばアタッシュケースにはボールペンが二十二本しか残っていなかった。
正確に数えると俺は二十二回のピンチを既に脱している……。
傷つき倒れる俺。
気がつくとドアの前にあの警察署長が、凶悪な笑みを湛えて立っていた。そしてその手にはピストルが……。
警察署長は俺の手から宝石をもぎ取ると背中を向けてドアの外へ出て行った。
代わりに数人の警官がドヤドヤと入ってきて俺を担ぎ上げる。
どうやらこの場で撃たれる事は無さそうだと思ったのも束の間、十数人の銃を構えた警官の前に俺はドサリと転がされた。
転がした警官が離れた瞬間、銃声と共に十数発の弾丸が俺の身体にぶち込まれた。
警察拳銃は威力が無い、俺は即死も出来ずに弾丸の熱さを感じていた。