スリリングな夢
7
ふと気づくと、俺は銘刀「國松」を握り締め、炎に包まれた百姓家の中に居た。
呼吸する空気までも炎の様に熱い。おまけに背中にはズキズキと鈍痛を背負っていた。
俺は堪らずに外へ出た。
そこは既に野武士達に制圧され、生き残った用心棒達も刀を奪われて膝まづいていた。
諦めた俺は銘刀「國松」を捨て、奴等に近づきながら懐に手を入れ、ボールペンを……。
無い!?
いつも散々に楽しんだ挙句、ピンチに陥った時に俺を救ってくれる魔法のアイテム、ボールペンは懐に無かった。
背中に廻ったか、たもとに有るのかと探したが見つからない。
「おい、どうした? 何を探しているんだぁ? ん」
野武士の首領と思しき奴が声を掛けてくる。
「いあぁ、何でも無いんだけどね……」などと言いながら探し続ける俺。冷や汗がべっとりと背中を濡らしている。いや、それはあの若侍に斬られた傷から流れる血液なのかも知れない。
「こらぁ、舐めとるのかあ!!」
俺の態度が気に食わなかったのか、首領は刀を抜くとソイツを俺の腹に突き刺した。
ズブリと潜り込む刃の感触。刀は胃袋を突き抜けて背骨にゴツッと当たって止まった。
俺は鈍い痛みと共に崩れ落ちて行き、意識も薄れていった。