スリリングな夢
5
ふと気がつくと、俺は砂漠の様な土地を馬に乗って歩いていた。
くすんだ茶色の服を着ている、頭にはテンガロンハット、ブーツに付いた拍車が俺を高揚させる。
どうやら西部開拓時代の世界にでも紛れ込んだ様だ……。
暫く歩くと小さな町に辿り着いた。
端から端まで歩いても十分と掛からない様な小さな町だ。
まだ日が高かったので、俺は町の住人二・三人と話をして次の町まで行こうと考えた。
ところが町の反対側を出ると、そこには大きな崖がそびえ立っていた。
町に入った時には山が在る事さえ気づかなかったが……。
その崖を見上げると何人もの旅人と思しき人間が崖をよじ登っているところだった。
そして崖の下を見ると看板があった。
『崖の向うに新たなる冒険が、さもなくば引き返せ』
へんな看板だ。俺は冒険と言う言葉に惹かれはしたが、とりあえず町へ戻って一休みしようと考えた。
振り返った時、崖から滑り落ちる男の悲鳴が降って来て看板の直ぐ傍に落ちてきた。
ふん、俺ならそんなドジはしないぜ……。