スリリングな夢
4
さて三日目の夜が明けて皆も緊張がピークに達している。
野武士の集団が約三十人、対する俺たち用心棒は五人だ。
村人達には戦闘不能になった敵に止めを刺せと言ってあるが、先ずは俺たちが倒さねばならない。
俺たち一人に対し五、六人を相手にするのは映画や小説の中ほど容易では無い筈だ。
意気揚々とやって来る奴らに弓の名手たる俺? が素早く六本の矢を射掛け、馬に乗った奴等に四本が命中した。
馬に乗れるのは恐らく腕の立つ奴の筈だ。奴等の戦闘力は人数以上に落ちたに違いない。
隊を崩して雪崩込んでくる奴等にもう三本の矢を射掛けてから、俺は銘刀「國松」を抜き去り八双に構えつつ斬り込んで行った。
土煙の立つ中で激しい戦闘が繰り広げられた。
あちこちで血煙が舞い上がる。
刃《やいば》の咬み合う音、野武士の怒声、馬の蹄、村人に何箇所も刺された敵の断末魔の声。
勝てる!! と思った刹那、遠くから野武士の増援が駈けて来る声と姿が……。
火矢が飛んできて百姓家に火がついた。
増援の人数は二十を超えていそうだ。俺たちは覚悟を決めた。
こうなったら殺れるだけの敵を道連れにするだけだ。
俺は既に八人を斬っても切れ味の落ちない銘刀「國松」を握り締め奴等の固まっている中へ斬り込んだ。
しかし我々も既に手負い、村人は増援に恐れをなしてなして逃げてしまった。
圧倒的に不利な中で孤軍奮闘する俺。
その俺の背中が何者かに袈裟斬りにされた。
誰もいない筈の後ろを見ると、同じ用心棒の裏切りだった。
もはや勝てないと思ったのだろう、仲間の内でも一番誠実そうな若侍だったが自分だけ助かろうと寝返ったのだ。
怒りに駆られ敗走しがてらにその若侍を斬り捨て、炎に包まれた百姓家に飛び込んだ。
そして懐からボールペンを取り出し……。