森林(もり)のサカナ祭り
気がつくと、ぼくは自分の部屋にいた。まだ胸がドクンドクンと波打っている。どうやって帰ってきたのかよくわからない。でも、花火大会をおしまいまで見て、みんなと帰ってきたことがぼんやりとした記憶にある。
とすると今夜のことは夢? 花火大会の間の一瞬の幻?
いや、夢じゃない。ぼうっとしているぼくの目の前に現れた少年は、机の上に飾った看板のそばに新しい花束をおいていった。
ぼくはその意味を考えた。今のぼくにできることといったら、せめて新しい看板を作ることくらいしか思いつかない。
次の日、コウジ君たちと相談して作ることにした。板を白いペンキで塗り、赤く「魚付き保安林」と書いて、それを漁協の人に話して森林の木にかけさせてもらった。
作品名:森林(もり)のサカナ祭り 作家名:せき あゆみ