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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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森林(もり)のサカナ祭り

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「へえ。わぁ」
 ぼくは三人が手際よくいろんなことをやっていく様子に目を見張った。ぼくもヒロト君と同じ三年生なのに。
「ヤスハル。感心ばっかりしてないで、ほら、この板ッ切れを少しずつ火の中に足してくれ」
と、渡された板には赤い文字が書いてあった。「反対」とか「自然」とか「守れ」とか。
「ああ、マンション建設反対の看板だよ。地元はみんな反対していたんだ」
 コウジ君は板を燃えやすいように割りながら言った。
「オレたちんち、漁師だからさ。森がなくなると土がむき出しになって、雨がふると泥水がそのまま海に流れ込んでくるだろ? それにマンションからの排水とで海が汚れると魚が住めなくなるし……さ」
と言いながら、トモノリ君はちょっと深刻な顔つきで、サザエの焼け具合を見ていた。
「あ、だから魚付き保安林て」
 ぼくは昨日ここで看板を拾って、家に持ちかえって調べたことを話した。
「そうか。だから森林に選ばれたんだ」
 ヒロト君が言った。

 初めて食べた焼きたてのサザエやアワビはとてもおいしかった。すっかり打ち解けたぼくたちは、いろんな話をした。
 ぼくが興味を持った魚付き保安林については、昔はあっちこっちの木の枝に、その看板をかけていたのだそうだ。それがいつの間にかはずされ、森林の木は切り倒されて造成され、リゾートマンションがいくつも建てられていったのだと教えてくれた。