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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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森林(もり)のサカナ祭り

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「新しくできたリゾートマンションにいらしたんですね?」
 八幡崎(やわたざき)までと行き先を告げたら、運転手さんにたずねられた。するとお母さんは、待ってましたとばかり、おしゃべりを始めた。
「ええ。思い切って買っちゃったんです。うちは田舎がないものですから」
 おまけに、お父さんは出張でこられないだの、ぼくがひ弱だのとよけいなことまで言い出すしまつ。
 そのうち街の中を通りぬけて、タクシーは山道を上り始めた。しばらくして尾根づたいの道にでると、たちまちはっとするほど鮮やかな、コバルトブルーの海が目の前にとびこんできた。水平線がくっきりと丸く見える。
 ぼくはつい身を乗り出して、窓ガラスに思い切りおでこをぶつけてしまった。お母さんはげらげら笑い、運転手さんは必死に笑いをこらえていた。