森林(もり)のサカナ祭り
ホームに降りたとたん、たちまちむっとする熱気が足元にまとわりついてきた。それをふりはらうように、足早に改札をぬけて外にでると、ひんやりとした潮の香りのする風がふわっとほおをなでた。
「わあ。気持ちいい」
ぼくは思わず深呼吸をした。建物の間からきらきら光る海が見える。
「お母さん、早く!」
ぼくはもうわくわくして、後ろから汗をふきふきやってくるお母さんを待つのももどかしく、海の方へ向かって歩きだした。ところが、
「ヤスハル。そっちじゃないわ」
タクシー乗り場からお母さんがぼくを呼びもどした。
「そんなに遠いの?」
「あの山の、そのまた向こうよ」
お母さんが指さした先は、空しか見えなかった。
「わあ。気持ちいい」
ぼくは思わず深呼吸をした。建物の間からきらきら光る海が見える。
「お母さん、早く!」
ぼくはもうわくわくして、後ろから汗をふきふきやってくるお母さんを待つのももどかしく、海の方へ向かって歩きだした。ところが、
「ヤスハル。そっちじゃないわ」
タクシー乗り場からお母さんがぼくを呼びもどした。
「そんなに遠いの?」
「あの山の、そのまた向こうよ」
お母さんが指さした先は、空しか見えなかった。
作品名:森林(もり)のサカナ祭り 作家名:せき あゆみ