「初体験・選択編」 第五話
「小枝子は私の生きがいなのよ。たった一つの代えがたいものなの。そうさせて・・・」
「私もお母さんが一番大切・・・」
「あなたはこれからまだ出会える人が現れるから、そんなふうに考えないで。生まれてくる子供に私への想いを返してくれればそれでいいの」
「お母さん・・・私は・・・雄介さんが好き・・・他に誰も愛せない」
「小枝子!哀しいこと言わないで!」
母親はそう言って泣き出してしまった。娘の想いを誰よりも解っていたからだ。手を取り合って泣いていた二人には長い長い時間に感じられた5日は暮れて行った。
作品名:「初体験・選択編」 第五話 作家名:てっしゅう