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スケートリンク

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 明日は「明け」なので、池上は朝から眠り、午後三時頃起きるだろうと思った。
「わかりました。お待ちします」
 そのあとは黙って運転していた。いろいろ聞きたいことはあるのだが、話に夢中になったことによる事故を怖れた。
「残念ですね。もう着いてしまいました」
 表参道の駅の周辺には目を惹く女性の姿が多いのだが、山村絵里香以上の女性はいないと思った。
「早く着きましたね。ここで結構です」
 料金は千六百十円だったが、絵里香は千円札を二枚出し、釣りは要らないと云った。
 彼女が雑踏に消えた刹那、池上は遥かに遠い過去に於いても、鮮烈なレモンイエローが眼に焼き着いた経験をしたかも知れないと思った。

                  *

 翌日の午前十時に池上は電話で起こされた。兄からの電話だった。呼ばれた近くのファミリーレストランに着いたのが二十分後だった。池上の兄の光太郎は両親が会いたがっているので顔を見せてやってもらいたいと云った。
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