スケートリンク
「おばさんだから駄目ですね」
「そんなことはありませんよ。こっちは本格的なオジサンですけどね」
「そんな!あなたはオジサンという感じじゃありません」
「もう、本気になってしまいそうです。立候補したいです」
「じゃあ、決まりですね。これ、わたしの携帯の番号とメールアドレスです」
赤信号のために停止した。
「あ、どうもありがとうございます。山村絵里香さんですか。デートに誘ってもいいということですか?」
「いつ誘ってくれるんですか?」
「今、決めましょうか。善は急げと云いますからね」
「でも、心の準備が……」
「そうですね。明日の夕方に電話します」
信号が変わって左折し、トンネルに入った。
「明日の夕方の、何時頃ですか?」
「……六時でもいいでしょうか」