スケートリンク
「日記に書きますか。誤解されると困りますが、お客様の容姿を褒めたことは初めてです」
「わたしも、あなたのお顔、好きです」
「降参です。タクシーはまだ三年ですが、こういうことがあるとは想像もしてませんでした。私も日記に書きます」
「読んでみたいです。あなたの日記」
「本心ですか?」
「ええ。本当に読ませて頂きたいと思います」
「……でも、あなたには恋人がいるでしょう?」
「いませんよ。なってくれますか?……でも、駄目ですよね」
「私もフリーの身ですから、そういうことになったら嬉しいですね」
「お幾つですか?」
「私ですか?三十三です」
「わたしは二十九歳です」
意外だった。女性の年齢はわからないものだと、改めて思った。
「意外に離れてませんね」