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スケートリンク

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六日の正午まで二十分という時刻になった。待ち合わせの場所に着くと、池上は最後に秘密池に行ったのが二十年も前のことではないかと思った。そのとき、彼は中学生だったような気がする。それは、入学式に出たその帰りに秘密池でスケートをしようと思ったからだったのではないか。
正午を過ぎてから一時間が過ぎた。池上は諦めて帰ることにした。絵里香は目が覚めたのだと思った。気が変わったのである。冷静になったのだ。そのとき、タクシーの運転手では話にならないと、彼女は思ったに違いない。

               *

 十三日の夕方の便の機中で池上は夢を見た。スケートリンクの氷が割れて少女が池に落ちた夢だった。池上は救助すべきだと思うのだが、身体が動かない。レモンイエローの衣服の少女は、瞬く間に割れた氷の間に姿を没した。その少女こそ、山村絵里香だった。
作品名:スケートリンク 作家名:マナーモード