スケートリンク
「それも兄貴から聞いたよ。だけど、どうして俺に白羽の矢が当たったんだろう」
「あそこのお嬢さんがお前を指名したらしいよ」
「へえ。不思議な話だね。名前は?」
「絵里香さんという名前だったかね」
池上はその名前を聞いてひどく驚かされた。
「本当かよ!そのひとと昨日会ったよ」
「えっ!会ったの?どこで?」
「俺のタクシーの中で話をしたんだ」
「そうかい。信じられない話だね。どういうことなんだか……とにかく十四日、待ってるよ」
「十三日だよ。そっちに着くのはね」
通話が終わってから時計を見ると、午後七時になるところだった。池上は午後六時に山村絵里香に電話すると約束したことをそのときになって思い出した。一時間遅れでは拙いと思いながらも、とにかく電話することにした。