スケートリンク
ところが、彼女から受け取った電話番号のメモを、どこに仕舞ったのかが思い出せない。仕事に行くときにいつも持って行くバッグの中を探したが、それを発見することはできなかった。制服のポケットだとすると、勤め先へ行ってロッカーを開けることになると思った。
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空腹を覚えた池上は日中兄と会ったファミリーレストランへ行った。一番安いパスタを食べてから会計を済ませたとき、時刻は午後八時になるところだった。そのとき、電話が着信した。
非通知だった。
「はい。池上です」
「池上さんですね?わたし、山村です」
「……絵里香さん?」
「そうです。電話、待ってましたよ」
「ごめんなさい。メモを紛失しました……でも、どうして私の番号がわかったんですか?」