スケートリンク
電話に起こされた。窓が暗くなっている。
「はい。池上です」
「お母ちゃんだよ。元気そうだったって、光太郎から聞いたよ」
「そう云ってたか。まあ、元気だよ。稼ぎは少ないけどね」
「事故はないんだろう?」
「そうだね。事故だけはやらないように気をつけてるよ」
「ところで、十四日の日曜だけど、こっちに帰って来れるかい?」
今日から数えるとその日は十二日目になると思った。
「……その日はちょうど公休日だよ。土曜日の夕方に羽田から行くよ。で、何かあるのかな?って、兄貴から話は聞いたけどね」
「光太郎も知ってたんだね。山村ワインの長男が急に亡くなったことも云ってたかい?」
「そうか。亡くなったんだ。会ったことないけど、まだ若かっただろうね」
「お前と同級生だったらしいね。それでね、娘さんが後継ぎということになって、婿養子を迎えたいって云うのよ」