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もう一度、結び直したい、夫婦の絆を

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凛太郎はこんな父からの突然の話しに戸惑った。しかしそんな息子を気遣ってか、それとも話しておきたかったのか、父は言葉を終わらせなかった。
「なあ、凛太郎、お母さんはお父さんと結婚して、お前を産んで・・・それでもずっと洋介さんのことが・・・多分、忘れられなかったんだよなあ」

凛太郎はこれにどう答えてよいのかわからない。父も好きだし、母はもっと好きだった。
「お父さんもお母さんも、一緒によく頑張ってきたと思うよ。だからそんな洋介さんのこと、どうでもいいんじゃないの」
凛太郎はこんな的を射ない返事しかできなかった。それでも父は言葉を止めない。

「凛太郎、夫婦の絆ってな、結ばれているようで、ずっと解けていたり、いつの間にか結び目がなくなってたりもするんだよ。だけど不思議ものでなあ、お母さんのこと、憎いんじゃなくって・・・余計に愛おしく思うんだよ。だから、あちらへ行ったら、道に迷ってるお母さんともう一度糸を結び直し、やり直そうと思ってんだよ」

こう言った父は怒ってるようでもなく、また笑ってるようでもなかった。ただ凛太郎の目をじっと見つめ、まことに中途半端な面持ちをしていた。

そして凛太郎はこれに対し、まるで決まり文句のように、「お母さんとの絆はずっと結ばれてたし、これからも決して解けないよ」と強く返した。

これに父は一言だけ口にした。
「ああ」

そして、ベッドの中で横を向いてしまった。