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もう一度、結び直したい、夫婦の絆を

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父の十三回忌を終えて、やっと一段落がついた。
その一つの区切りとして、少し体調を悪くしている妻の保養も考え、夫婦でこの日本海の温泉にやってきた。

季節は冬。窓からは雪が舞う紺青の海が望める。
そして波は荒く、岩に激しく弾け散る。 
そんな情景に、久しぶりに綾乃は笑顔を見せてくれた。

「あなた、いい眺めだわ。私、さっそく海が見える露天風呂に入ってくるわ」
妻はそう張り切って、部屋に着くなり大浴場へと出掛けて行った。

その間、凛太郎はビールを飲みながら夕方の報道番組を観てくつろいでいた。ここまでの忙しさを忘れさせてくれる久しぶりの休暇だった。

だが、一向に妻は部屋に戻ってこない。
まあ、ゆっくり浸かってるんだろう、と気を許してはいたが、係の者に連れられて妻が戻ってくる、こんな事態になってしまったのだ。

だが凛太郎は妻の綾乃を責める気はない。

今までの二人の人生、辛いことも一杯あった。しかし、一所懸命力合わせて乗り越えてきた。お陰で子供たちも立派に巣立っていった。

妻とともに歩んできた道、凛太郎には後悔はない。