もう一度、結び直したい、夫婦の絆を
妻の綾乃(あやの)が戻ってこない。
どうしたんだろうと、凛太郎(りんたろう)は心配になってきた。
そんな時に、部屋のドアーがノックされた。
凛太郎が慌ててドアーを開けると、
そこにはこの温泉宿の係の者と、そして妻が立っていた。
「あのう、奥様が道に迷われたようで・・・お連れさせてもらいました」
「道って?」
凛太郎は訳がわからず聞き返した。これにその担当者が申し訳なさそうに返してくる。
「すいません、差し出がましいと思ったのですが・・・、お風呂からお部屋の方へ、奥様が・・・どうも道に・・・、いえ廊下で迷われたようでして、ロビーでじっとされておられたものですから」
凛太郎はそれでおよその察しがついた。
「それはわざわざありがとうございます。さっ綾乃、部屋に入りなさい、もうすぐ御飯だよ」
作品名:もう一度、結び直したい、夫婦の絆を 作家名:鮎風 遊