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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「仮面の町」 第九話

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竹田の母親は弘一の話を聞いて声をあげて泣いていた。悲しかったのではない、
許せなかったのだ、娘の命を簡単に扱われてしまったことを・・・

「岡田さん、教えて頂いてありがとうございます。どうするかは決めかねますが、何かお考えはございますか?」
「礼は天木さんに言って下さい。それから今後の事も同じく相談してください。私と協力して・・・無念を晴らしましょう」
「はい、天木さんありがとうございます。どうすればよいのか教えてください」
「竹田さん、礼には及びません。ボクとしては当たり前のことをしているつもりですから。まずは事実関係を証明できるものが必要です。
裁判になっても証拠不十分で却下されてしまいますからね。あの日交差点の信号が青だったことをボクが言い張っても、一人じゃ確実な証拠にならないんです。因果関係の無い他人がもう一人証明してくれれば証拠で採用されます。そうすれば、警察は取り調べ調書と記載が異なることを恐れて再検分をすると思います。でも、あの夜、周りに誰も居なかったことは事実です。この件は不可能に近いですね」
「それじゃあ、次はどうするといいんだい?」
「ええ、岡田さん、運転手が自首することが一番なんですが・・・こちらがいくら説得しても知らないの一点張りでしょうから、これも望めませんね。
バイクが車の横に追突したのか、車がバイクに追突したのかは重要な判断材料です。警察の調書には残念ながらバイクが追突したと書かれていることでしょう。久能の車はもうすっかり極秘で修理されているでしょうからこれも証拠として見つけ出すことは不可能です」