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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「仮面の町」 第九話

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「山崎警部は必ず犯人を見つけると私に言ってくれました。でもなぜか、この手紙のように簡単に、見つからないとだけ連絡してきたことに疑問を感じたんです。隣に居る高木さんは父親にこの話をしました。多分事故を起こした運転手は久能一族の誰かの専属だろうと予測しました。だとしたら揉み消しをしたことの理由が解ると言うことなんです」
「久能不動産の社長だったと言うのか!事故を起こした車は?」
「予想です」
「天木さんは何故息子のことを調べようと思われたのですか?」
「事故の目撃者が私一人だと言うこと、真実を語られていないと言うこと、犯人が逮捕されていないと言うこと、それと警察内部でこの事故が極秘扱いにされていることへの不満です」
「極秘ですか?」
「はい、それは調べましたからはっきりとしています」
「私は息子が事故を起こして冷たくなって帰ってきたとき、どんな不良でも命だけは在って欲しいと強く思いました。妻は悲しみで一週間も食べることさえ出来ないぐらい憔悴してしまいました。やっと忌が明けようかという時にあなたからこのような話を聞かされ正直動揺しています。直ぐにでも警察に出向いてことの真実を確かめたいと思います。ありがとうございました」

母親はもう泣いていた。肩を優しく寄せるようにして父親は目頭を押さえた。