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年の数だけ

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女房は帰ってこない夫のことが心配で眠れず、目を赤くして出迎えました。
夫を見てびっくり仰天。
「あんた? ほんまにあんたかいな」
「そや。どや、変わってるか?」
「変わってるもなんも、えらい若造りして、というか皺がのうなって、髪も黒々とふさふさと。30歳はわこうなってますがな。山に行ってる思てたのに、あんたどこぞで女と・・」
「ま、ま、落ち着いてワシの話を聞かんかいな」

これこれしかじかと、茸を食べた話を聞かせました。
それを聞いて女房殿。
「わたしもその茸、食べたいわぁ」

ということで、大きなザックを背負ってふたりして、その山に入って行きますな。
草をかき分け、岩の下をのぞきして、やっと1本の小さな小さな茸を見つけました。
1センチほどの長さです。
それを周囲の土ごと掘り出し、大事に新聞紙でくるんでザックに入れ、持ち帰りました。
作品名:年の数だけ 作家名:健忘真実