「哀の川」 第二十七話
「お母さんが帰ってくるといけないから、着替えようか?由佳?」
「うん、そうね、シャワーもう一度浴びてから着替える。あなたはどうする?」
「一緒に浴びよう・・・ね?」
「うん、じゃあ行きましょう」
先ほどよりは暗くなっている部屋からバスタオルだけ巻いて手を繋いで向かった。着替えを済ませて、居間でテレビを見ているところへ母の潤子は帰ってきた。手に大きな買い物袋を下げていた。晩ご飯のおかずを買ってきたのだ。由佳も手伝って、食卓に美味しそうなものがたくさん並んだ。
「純一さん、召し上がって下さいね。気に入ってくれるといいけど」
「頂きます・・・美味しいです!」
「由佳も作ったのよ、どう?」
「へえ~凄いなあ・・・みんな美味しいですよ!」
「ねえ、純一さん、あなたのお家のこと聞いても構わないかしら?」
母の潤子は娘の将来の夫になろう純一の家庭のことが気にかかっていた。まだ早すぎる懸念ではあるが、麻子同様、潤子も二人は良い組み合わせだと思えていたからだ。
作品名:「哀の川」 第二十七話 作家名:てっしゅう