アイラブ桐生・第三部 32~33
旗頭(はたがしら)が、大空に向かって大きく振られました。
商店街の左右に待機していたエイサー達が、太鼓を打ち鳴らしながら
勢いよく登場をしました。
エイサーの全員の鉢巻が、揃いの真紅です。
コザ市で1956年からはじまった、全島エイサーコンクール
(現・全島エイサー祭り)に参加をするためにやってきた
青年団の仲間たちです。
「30分間のみに限ってならば、許可をする。」それが、たび重なる交渉で
警察が苦渋の末に譲歩した、道路使用許可の時間帯です。
青年団員たちが粘りぬいた末に、勝ち取った結果でした。
わずか30分間とはいえ、起死回生の末の道路使用許可です。
そして今日、レッドカード作戦の呼びかけに答え、
近隣の青年団員たちのエイサーが、宜野湾の商店街に
大挙して集結をしました。
※エイサーは、
沖縄県でお盆の時期に踊られる伝統芸能です。
この時期に現世に戻ってくる祖先たちの霊を送迎するために、
若者たちが、歌と囃子に合わせて、地元の地域をねり歩きます。
近年は太鼓を持つスタイルなども増えてきました。
エイサーは旧暦の盆の送りの夜におこなわれます
(近年は、盆の迎えから数夜連続で行われることも多くなりました)
旗頭を先頭にした一団は、地域の各戸を回り、それぞれの家の祖先の霊が
無事に後生(あの世の意味)に戻れることを祈願することを述べ、
エイサーを踊ります。
踊りが一段落すると、一団は酒や金を受け取って次の家に向かい、
そこでまた、祈願と踊りを繰り返します。
エイサーは、地域の集落単位で若者たちを中心にして、
その一団を結成します。
そのため地区の境界では、複数のエイサーがかち会うことも度々あります。
この時には双方が一段と声を高くして、踊りに熱を入れて競い合います。
これをエイサーオ―レセ―、またはエイサーガ―エーと呼んでいます。
3~4mの旗頭は、自らの一団を誇示するために、
ことさら高く旗を掲げたり、相手の旗とぶつけ合ったりもします。
太鼓踊りの装束は、頭巾を被って、
一団で統一された打掛、羽織を着用します。
白いズボンに黒白ストライプの脚絆をつけ、足袋を履くのが一般的です。
作品名:アイラブ桐生・第三部 32~33 作家名:落合順平