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『マイヤーくんの冒険』

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「トムくん、本気かい。」
「本気だよ」
「それじゃあ、ぼくたちふたりのしっぽにかけて誓えるかい。」
「もちろんだとも。」
「それじゃあ、誓いだ。我々の血と心臓としっぽの名誉にかけて」
「我々の血と心臓としっぽの名誉にかけて」
 マイヤーくんとトムくんはは大人がしていた誓いの儀式をまねして、しっぽを交差してむすび、誓いをたてました。
「じゃ、はやく僕にも見せて、どんなものなの。やっぱり刀?武器?」
トムくんは、早口でマイヤーくんにいいました。
「トムくん、それじゃびっくりしないでね。」
マイヤーくんは、おもむろにポケットに手を突っ込みました。
「えっ、ポケットに入っているの?」
「これだ!」
「これこそが、世界で一番の、魔法の道具中の道具、『ペンは剣よりつよし』だよ。」
マイヤーくんが、真っ赤な顔をして、差し出した小さな手のひらには、古ぼけた短い鉛筆が申し訳なさそうにのっていました。
「マイヤーくん、きみを疑うわけじゃないけど、本当に大丈夫かい?」
「ぼくには古い鉛筆にしかみえないよ、それとそれはペンでなくてペンシルだと思うけど」
 トムくんは、少しおかしくなって、笑っていいました。