愛憎渦巻く世界にて
「なんで私は勉強をしなくちゃいけないの!?」
タカミ帝国首都の王城内に、その甲高い大声が響き渡った……。
「姫様! どうされましたか!?」
皇室付きの執事が、タカミ帝国の皇女の部屋に入ると、大声をあげた本人である姫に言った……。
「セバスチャン! 私はなぜ、こんなつまらないことを学ばなければいけないの!?」
姫は、数学の教科書を片手でパラパラとしながら、セバスチャンという名前の執事に問いかけた……。彼女の横にいる家庭教師である女性は、ただオロオロとしていた……。
「将来役に立つかもしれないから学ぶのです!」
セバスチャンの返答に、姫はため息をついた……。
「兄さんはずるいわ!!! 遊びに行っちゃうなんて!!!」
姫は、話を変えるつもりらしく、プリプリ怒りながらそう言った……。
「……ウィリアム殿下は遊びに行ったわけではありませぬぞ」
セバスチャンはそう言って、このやんちゃな姫をなだめるしかなかった……。
この姫は、ブリタニアという名前で、ウィリアムの妹だった……。