愛憎渦巻く世界にて
シュッ!!!
しかし、隊長の気持ち良さそうな笑顔も、風を切るようなその音とともに消え去り、恐怖心に満ち溢れた顔となる……。
なぜなら、ゲルマニアが剣の刃先を、彼の首元に突きつけたからだ……。ちなみに、彼女の剣はロングソードだった。
「おまえらは、我が国の名誉に泥を塗るつもりか!!!」
ゲルマニアは、力一杯に怒鳴った……。彼女が怒鳴った途端、隊長は小便を漏らし、他の兵士たちは足を震わせる……。クルップと騎士たちでさえも、彼女の怒りに少しびびっている様子であった。
「次に同じようなことをしたら、命は無いと思え!!!」
ゲルマニアがさらにそう怒鳴ると、
「はい!!!」
兵士たちがこれ以上ないぐらいの震えた大声で返す。剣を突きつけられている隊長は、剣先に震えながら返事をしていた。彼の足元には、小便の水溜まりができていた……。
「よろしい」
ゲルマニアはそう言うと、剣を鞘におさめた。そして、クルップと他の騎士を連れて、立ち尽くしたままの隊長や膝をついたままの他の兵士たちの横を通り過ぎていく。
彼らは、首都がある東の方角へと去っていった……。