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愛憎渦巻く世界にて

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 その騎士の集団は、返り血で汚れた鎧を着ていた。乗っている馬にも血がついており、先頭の2頭を除いて、疲れた様子だった。騎士も、先頭の2人を除き、疲れた様子を見せている。
 先頭の2人は、他の騎士たちよりも豪華な装備だ。さらに、そのうちの1人はさらに豪華な装備で、ゴーリ王国の王室のマークが鎧と兜に刻印されている。この騎士の集団は、ゴーリ王国の王室騎士団なのだった。

「姫、『国境沿い砦落としツアー』は大成功でした!」
先頭の2人のうちの1人が、兜の前を開いてそう言った。10代中ごろの強そうな金髪の少年だ。彼が姫と呼んだのは、隣りにいる王室マーク付きの装備をした騎士に対してだ。
「ムチュー王国の防衛線にダメージを与えることはできたろうが、こちらの損耗を考えれば、大成功だとは言えんな」
その王室マーク付き騎士も、兜の前を開いてそう言った。姫と呼ばれたのは、10代中ごろの強そうな金髪碧眼の少女だ……。彼女は後ろを振り返り、後ろにいる騎士たちを見る。
「まあ、それはそうでしょうが……。あっ、前方に味方がおります!」
騎士の少年が指をさした。姫は視線を前に戻す。
 前方に、大量の荷物を持った兵士たちが歩いていた。意気揚々と布袋を背負っていた……。しかも、ゴーリ王国の国旗は、荷物のついでのように持たれていた……。
「……不自然だな」
姫はそう呟くと、馬の足を早めた。
「あっ、姫!」
姫を追いかけようと、騎士の少年も馬の足を早める。残りの騎士たちもそれに続く。


「オイ!!! そこの貴様ら!!!」
兵士たちは突然の大声と馬の足音に驚き、その場で足を止めた……。兵士たちのすぐ横に、姫と騎士の少年がおり、他の騎士たちは、その2人のすぐ後ろで控えている。
「ゲルマニア様とクルップだ……」
兵士の1人が呟いた。強そうな姫の名前は、ゲルマニアという名前らしく、騎士の少年の名前は、クルップという名前らしかった……。

 ゲルマニアは、ゴーリ王国の姫という立場でありながら、王室騎士団の団長であり、騎士として戦争に赴いていた。クルップは、貴族の出身で、国王からゲルマニアの補佐と護衛を任されていた。

「おまえらの隊長は誰だ?」
ゲルマニアは、静かだが威厳のある口調で、兵士たちに尋ねる。
「私です」
その兵士の後ろから、隊長らしき男が現れた。狡猾そうなその中年男の指には、指輪が何本もあった……。
「……その指輪もそうだが、おまえたちが持っている荷物はなんだ?」
ゲルマニアの問いかけに、隊長は自信満々な口調で、
「ムチュー王国の村の連中から奪ってやった物です。連中には、もう必要ない物でしょう。なぜなら、もう我々に殺されているんですから!!!」
笑いながらそう言った……。民間人を堂々と虐殺した罪悪感など、微塵も感じていないらしい……。
 そして、シャルルの村を襲ったのは、どうやらこいつらのようだ……。

作品名:愛憎渦巻く世界にて 作家名:やまさん