愛憎渦巻く世界にて
「部屋は一部屋しか空いていなくて、ベッドは1つしかないね」
受付で、宿屋の主人はそう言った。
「1つのベッドを4人で使うとなると、この小説は『18禁』にしなくてはならないな」
ウィリアムがわざと下品な口調でそう言うと、
「ふざけないでください」
メアリーがツッコミを入れた……。
「どうする?」
主人は今のやり取りをスルーして、ウィリアムに尋ねた。
「そうですね。私はベッドで、あとの3人は毛布にくるまって、床で寝ます」
「ふざけんな」
今度はシャルルがツッコミを入れた……。
「とりあえず、1泊しますので、毛布を3人分用意してください。宿代は四人分払います」
ウィリアムがそう言うと、主人は部屋の鍵と毛布を取りにいった。
宿屋の食堂で、ある男が昼飯を取っていた。その男は、マリアンヌを見て、ハッとする……。どうみても、マリアンヌの正体がバレたのだが、シャルルたちのほうは気づいていなかった……。
その男は、シャルルたちが主人に連れられて部屋に行ってしまうと、代金をテーブルに置き、宿屋からすぐに飛び出していった……。
主人に宿代を払い、部屋へ案内された4人は、昼飯を食わずに、夕方まで寝ることにした。マリアンヌはベッドで、あとの3人は毛布にうずくまり、床で寝る。
マリアンヌは、王城で家族といっしょに遊んでいる夢を見ていた。その夢は、彼女の過去の記憶から映し出されていた。夢の中の彼女は、とても楽しそうだが、それがまた現実に起きてくれる保障は無かった。それが影響しているのか、夢の中の彼女は、夢の中でめいいっぱいに楽しく過ごしているようにも見えた……。