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愛憎渦巻く世界にて

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「行き止まりみたいですね」
マリアンヌが残念そうに言った。
「早く戻らないと」
シャルルはそう言うと、マリアンヌといっしょに回れ右した。

「おい、どこに行く?」

 ウィリアムが正面を向いたまま言った。シャルルとマリアンヌは、
「?」
また顔を見合わせた。
「出口はここよ」
メアリーが呆れたという表情でそう言うと、ウィリアムの目の前にある石壁を指さした。
「まさか?」
シャルルはそう言うと、ウィリアムとメアリーを押しのけて、石壁を調べた。しかし、ただの石壁のようだった。
「からかっているのか?」
ウィリアムとメアリーにからかわれていると思ったシャルルは、不満そうにそう言うと、その石壁にもたれかかった。すると、

   ギギギギギッ!

 石壁が回転扉のように動きだした……。驚いたマリアンヌが、小さな悲鳴を上げる。
「うわあ」
そのままシャルルは、石壁の向こう側へ消えた……。どうやら、これが出口のようだ。
「まあ、こういう仕掛けなわけだ」
「お決まりですね」
ウィリアムも石壁を回転させて、向こう側へ消えた。メアリーもウィリアムのすぐ後に続こうと思ったが、マリアンヌがオロオロしていたので、やれやれといった感じで、彼女といっしょに石壁の向こう側へ消えた……。



 そのころ、武器庫の前でボケーと突っ立って、ウィリアムやマリアンヌたちが武器庫から出てくるのを待っている近衛兵たちは、様子がおかしいと思い始めていた。
 彼らは、おそるおそる武器庫のドアを開け、中の様子を伺った。そして、誰もいないことに気づくと、一斉に武器庫へなだれこんだ。
「一体、どこに消えたんだ!!!」
近衛兵たちは焦りながら、武器庫中を一心不乱に探した。もし、姫が行方不明なんてことになれば、間違いなく彼らは死刑だろう……。そのため、国王にバレる前になんとかしなくてはならなかった。
「そうだ!!! 秘密の抜け道だ!!!」
頭がパニック状態のため、気づくのが遅かったが、近衛兵の一人がそう言った。近衛兵たちはハッとすると、秘密の抜け道へと続く、棚を乱暴に押しのけた。
「いそげーーー!!!」
先頭にいた近衛兵がそう叫ぶと、棚の向こうに隠れていた螺旋階段を、近衛兵たちが一斉に駆け降り始めた。

 そこでまた、お約束の出来事が起きた……。

 近衛兵の1人が前のめりに転び、螺旋階段を駆け降りていた近衛兵たち全員が将棋倒しになったのだ……。先頭にいた近衛兵は、
「ぐは!!!」
と、うつ伏せで勢いよく倒れこんだ……。(その後、彼は病院で死亡が確認された……)

作品名:愛憎渦巻く世界にて 作家名:やまさん