小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

愛憎渦巻く世界にて

INDEX|216ページ/284ページ|

次のページ前のページ
 


 敵を迎えうつ準備が終わり、ゲルマニアは一息入れることができた。転がっていた木箱に座る。
 空を見上げる彼女。太陽は西に傾きかけており、これから夕焼けを迎える頃合いだ。
「今頃、あの扉を破壊する準備をしているだろうな」
彼女は、扉のほうを見る。今は微動だにしていないが、じきに破壊されてしまうことだろう。

「おーい!!! ゲルマニア!!!」

 突然聞こえてきたシャルルの声に、ゲルマニアは気が抜けそうになった……。やれやれといった調子で、近くのアパートの窓から顔を出している彼を見つける。他の窓からチラリと、ウィリアムとメアリーの姿も見えた。
「もう準備万端なのか!?」
彼はそう聞いてきた。
「当然だ! おまえらもしっかり戦えよ!!!」
彼女はそう叫んだ。
「言われなくてもそうするわよ!」
メアリーが窓から顔を出し、そう言い返してきた……。
{この分なら大丈夫だろう}
ゲルマニアは心の中で、彼らの健闘と無事を祈る。

   ドォーーーン!!!

 突然、大太鼓のように音が大きく鳴り響いた……。
「敵が扉を壊そうとしているぞ!!!」
扉のほうから叫び声がする。
 その音は、破城筒という攻城兵器が扉を攻撃している音であった……。鐘をつくように、丸太を扉にぶつけているのだ。
 また、同じ音が鳴り響く。扉は鉄製なので、破城筒の丸太が貫通してくることは無いだろうが、蝶番は持ちこたえられそうにない……。突破されるのは、時間の問題だ……。

「迎撃態勢を整えろ!!! 今すぐにだ!!!」
ゲルマニアは、兵士たちに激を飛ばした。
「わ、わかりました!」
彼女の気迫に、兵士たちは飛び跳ねるように動き出す。
 彼女は、毅然とした姿勢を見せ続けてたので、「ゴーリ人のくせに」という横柄な態度を取る兵士は1人もいなかった。彼らは、ゲルマニアの指揮能力に期待を抱いているほどである。

 敵を迎えうつ準備を、素早く整えていく兵士たち。剣や槍を持った兵士は、柵のそばや門の正面に設けられたバリケードに陣取る。また、弓やクロスボウを持った兵士は、門周辺の建物に展開していく。
 ゲルマニアは、バリケードに立ち、何かの到着を待ちわびている様子だった。

作品名:愛憎渦巻く世界にて 作家名:やまさん