愛憎渦巻く世界にて
「……そこまで言うなら、そなたに任せてみるか」
国王は、静かな口調で言った。ゲルマニアのことを信頼してくれたようだ。マリアンヌは、静かに喜んでいた。
「感謝いたします!!!」
「ただし! 変な行動を取ったら、すぐに解任するからな!?」
「もちろんであります!!!」
国王は、大臣たちを見回す。
「わ、我々も賛成でございます! 敵を知り尽くしているゲルマニア姫なら、この城を守り切るぐらいのことは可能かと……」
大臣の1人が、恭しくそう言った。
「この城だけではない! 首都への攻撃も止めてみせる!」
「ヒィ!」
ゲルマニアは、強気に言い放ち、その大臣を怖がらせた……。
「さて、国王陛下。いきなりの頼み事で申し訳ございませんが」
「なんだ? 言ってみろ?」
「私の部下であるクルップを、すぐに解放していただきたいのです。彼は私のサポートを、比較的忠実にこなしてくれるのです」
ゲルマニアは、クルップのことを忘れていたわけではなかった。
「いいだろう。そのほうが戦いやすいというのだから、しょうがないな」
「ありがとうございます」
国王と別れたゲルマニアは、クルップがいるという監獄へ駆けだす。岩がまた直撃したらしく、城内を振動と音が響き渡る。歩く余裕すらない状況だ。
彼女は走りながら、どういう戦法を取るかについて、脳を激しく働かせていた。全力を駆使して、この戦いに挑むつもりなのだ……。