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愛憎渦巻く世界にて

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 マリアンヌが真実を話したことに対して、ゲルマニアは感謝の気持ちを彼女に示した。それと同時に、彼女が強い人間になったことに、静かに感動しているようだ。

「……やれやれ、マリアンヌまで狂ってしまったか!」
国王はこの期に及んでも、そう言い逃れようとしたが、誰一人としてそれに賛同しなかった……。大臣たちでさえも、これ以上言い逃れることはできないと観念していた。それを察した国王は、すっかり諦めた様子になり、
「わかったよ。マリアンヌとゲルマニアが言っていることは真実だ」
ようやく真実を認めた。だが誰一人として、今さら驚く者はいない。
「しかし、これからどうすればいい? ゴーリの連中は、この戦争を止めようとはしてくれないぞ?」
これは国王の言うとおりで、どうしようもないことであった。この戦争を終わらせるには、相手国であるゴーリ王国も真実を認めさせなけばならない……。
「もし、こちらからもう終戦だと告げても、向こうの連中は、我々が降伏したと言い出すだろう。そうなれば、我々のメンツは丸つぶれだ」
悔しいが、これも国王の言うとおりだった。それに、終戦を申し出たとしても、ゴーリ王国側が大義は有効だと言い張れば、戦争は続行されるだろう。

「それなら私が、この戦争はもう無意味だと父を説得する! マリアンヌがあなたたちに認めさせたように!」
ゲルマニアがそう言った途端、国王と大臣たちは一斉に笑い出した。マリアンヌはその笑いの意味を理解できなかったが、笑われたゲルマニア本人は、その意味を理解できた様子で、国王を睨みつけている。
「ゲルマニアよ。我々が、おまえを解放するとでも思ったのか? その様子だと、我々がこれからおまえをどうするつもりであるのかは、もうわかっているようだな?」
国王は笑いながら言った。
「お父様、一体何を言っているの!? この戦争はもう無意味なんですのよ!」
まだ意味がわからずにいるマリアンヌは、国王に思わず訊かずにはいられなかった。
「よし、今度は私が教えてやろう! 大義など関係なしに、ゲルマニアには死んでもらうというわけだ!」
国王は、ためらうことなくそう答えた……。
「な…なぜ殺すの!? ゲルマニアさんを殺しても、タカミ帝国との同盟は結べないのよ!」
「そんなことはわかっておる! だが、今さらどうしろと言うのだ!? この戦争を止めたって、民衆のゴーリへの怒りの火は消えんぞ! このゲルマニアを殺せば、民衆の怒りはいくらか弱まるだろう!」
国王の残酷な言葉を聞いたマリアンヌは、顔を赤くして怒り出す……。
「そんなの、ただの八つ当たりですわ!!!」
「黙れ!!! おまえは人が良すぎる!!!」
マリアンヌと国王は大声をぶつけ合う。あまり微笑ましくない親子喧嘩であった。

作品名:愛憎渦巻く世界にて 作家名:やまさん