愛憎渦巻く世界にて
だが、シャルルはあきらめなかった。
彼は、すぐ近くに転がっていた空のワイン瓶を手にすると、ナイフを向ける男の頭を強打する。飛び散るガラス片。シャルルの手には、ワイン瓶の一部だけが残る。
打ち所が良かった(シャルルからすれば)らしく、男は即死してくれた……。死体を押しのけて起き上がると、別の手下の男が剣を振りかざしてきた。
シャルルは素早く剣の攻撃を避けると、手に残っていたワイン瓶の一部を、その男の口の中へ突っ込む……。男の口内は、尖ったワイン瓶の一部で満たされた……。
「うぐっ!」
男は、自分の口に突っ込まれたワイン瓶の一部で、口内に激しい苦痛を感じていた……。
だが、シャルルは構うことなく、口内がそんな状態に陥っている男の顔面を横から殴った……。ガラスが割れる音が、男の口内から聞こえる……。
「うぐぐぐぐぐぐぐぐぐ!!!」
生きているのが嫌と思えるほどの猛烈な苦痛を、男は満喫することとなった……。男の口から、ジャリジャリという音と共に、血がドボドボと流れ出す……。
なんとも残酷な殺し方である……。
「きゃあ〜〜〜!!!」
このヒステリックな大声をあげたのは、クロスボウを構えていた手下の女であった……。その女は、シャルルがたった今執り行った殺し方に、強い恐怖心を抱いたらしく、大急ぎで次の矢を装填した。そして、狙いを正確に定めることもなく、シャルルに向かって、まだ矢を放った。
しかし、正確に狙いを定めなかったことが災いし、シャルルにではなく手下の1人に命中してしまった……。そのうえ、矢が命中した場所が首であったため、誤射されたその哀れな手下は、空気が抜けるような音をあげながら死んでいった……。クロスボウ持ちの女が、またヒステリックな大声をあげたのは言うまでもない……。しかも、何度もだ……。
女のヒステリック声が耳障りだと感じたシャルル(もちろん、ディーブたちもだろうが)は、先ほど殺した男のナイフを拾い上げると、そのヒステリック女へ勢いよく投げつける……。これは、メアリーのナイフ投げの真似をしてみたものだった。
「ガハッ!」
だが幸運なことに、シャルルが投げつけたナイフは、ヒステリック女の右胸にしっかりと命中してくれた……。女はたちまち、耳障りな声をあげるのを止め、断末魔の声をあげてくれた……。
再び剣を構え、残りの敵の攻撃に備えるシャルル。