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愛憎渦巻く世界にて

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「……わ…私と海軍大臣は、ウィリアム殿下が求めておられる平和的な解決手段に賛成することとします」
「そ…その通りです……」

 しばらくしてから再開した会議で、両大臣は即座にそう言った……。保身のため、ビクトリーとハリアーの提案に乗るしかなかったなかったからだ……。
 シャルルたちは、あの両大臣が平和的な解決手段に賛成したことに、これ以上ないほど驚きの表情を浮かべている……。ゲルマニアなど、腰を抜かしそうになるぐらい拍子抜けしていた……。
 しかし、部屋内の警備(両大臣の監視のため)に当たっていたビクトリーとハリアーが、シャルルたちに意味ありな表情を投げかけてきたことから、あの2人がなんとかしてくれたということは理解できた。シャルルたちは、後でこっそり御礼を言うことにした。

「外務大臣も賛成だな?」
「ええ、皇帝。しかし、忙しくなりそうですな」
陸軍大臣と海軍大臣が賛成したことにより、会議はすぐに終わった。会議の結果はもちろん、タカミ帝国が平和的手段により、ムチュー王国とゴーリ王国との戦争を終結させることであった。
「それで父上、その平和的な解決手段として」
「わかっておるよ。私が、『相手国の姫を先を殺したほうと同盟を結ぶ』ということを撤回すればいいのだろう?」
「……ええ、そうです」
皇帝は、ウィリアムが言うことなどとっくにわかっていたという様子であった……。
「実はな、さっきの休憩時間の間に、撤回の声明文を考えてきたのだ」
得意げにそう言った皇帝は、高級な布地で織られた服の外ポケットから、小さな紙を取り出した……。

 その紙には、シャルルたちが求めているような文言が、すべてちゃんと記されていた……。

作品名:愛憎渦巻く世界にて 作家名:やまさん