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愛憎渦巻く世界にて

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 ……クルップは、テキパキと素早く、3人の蛮族を斬り殺した……。彼の足元には、3人の蛮族が仲良く死体となって転がっている……。今のところ、他の蛮族が応援にやって来る様子は無い。
 クルップの剣の腕前は、ゲルマニアには負けるが、一流レベルの腕前だった。おそらく、シャルルでは、3人の蛮族を撃退することなど無理だっただろう。

「剣を返すよ」

 戦い終えたクルップは、シャルルとマリアンヌが自分を警戒する前に、シャルルに剣を渡そうとした。しかし、シャルルは首を横に振り、
「それはアンタの剣なんだから、もうアンタが持っていていいよ」
そう言って受け取らなかった。
「いいのか?」
「私も構いません」
マリアンヌも、クルップが剣を持つことを許した。
「……ありがとう」
クルップの口から出た言葉は、久しぶりの感謝の言葉であった。


 シャルルたちは、再びジャングルの中を走り始めた。なぜか、メアリーの銃声がもう聞こえなくなっていたので、彼らの足取りは早まる。
 彼らのすぐ横を、蛮族が反対方向に次々に走っていく。どうやら、ウィリアムたちを襲うことをあきらめて、村のほうへ逃げていっているようだ。
「ツネニラルワンチャン」
しかし、蛮族のうちの1人がシャルルたちを見つけてしまう。すると、蛮族たちは逃げるのをやめて、シャルルたちを襲おうとしてきた。先ほどの3人の蛮族のように、『せめてコイツラだけでも殺してしまおう』ということであった……。ただ、蛮族は3人どころではなく、何十人もいるようだ……。
「敵の数が多すぎる! 突っ走るぞ!」
多勢に無勢だということで、シャルルたちはひたすら走ることにした。銃声がしていた方向は、この方向で間違いなかった。シャルルは引いているマリアンヌの手を強く握る。
 走っていると、両側から蛮族の気配を強く感じ、3人に恐怖感を植えつける……。


 そんな恐怖感に耐えながら、ひたすら走っていると、ジャングルを抜けた。砂浜が広がっており、砂浜の向こうには、美しく輝く青い海が広がっていた。太陽のまぶしい日差しが、ジャングルの薄暗さからの解放を告げる。
 ジャングルを抜けられたことに、シャルルたちは安堵したが、それは一瞬のことで、すぐに驚くことになった……。

 なぜなら、沖合いに大きな帆船が一隻浮かんでおり、砂浜には数隻の小型ボートがあり、その砂浜には数十人の人々がいたからだ……。それも、その数十人の人々は蛮族ではなく文明人であった……。ほとんどの人間が、銃剣付きのマスケット銃を持っている。そして、その数十人の中には、ウィリアムたちもいた……。
 ウィリアムたちは無傷な様子で、近くにいる偉そうな服を着ている男と話をしていた。シャルルたちのほうは、そんな意外な光景にポカンとするしかなく、その場で突っ立っていた。
 しかし、シャルルたちの存在に気づいたゲルマニアの叫び声で、シャルルたちは我を取り戻すことになる。

作品名:愛憎渦巻く世界にて 作家名:やまさん