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愛憎渦巻く世界にて

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「今、なんて言ったんだ?」

 シャルルとウィリアムとメアリーは、国王がいる王城の城門前にいた。彼らの目の前には、困った表情の門番の男が立っている。

 シャルルたちは、ムチュー王国の首都に着くと、さっそく王城へ急行した。国王と謁見するのが目的なのだが、城門の門番は、アポも無い変な訪問者たちを、城内へ入れさせてはくれなかった……。
「ですから、国王陛下と謁見させてほしいのです」
ウィリアムは落ち着いた口調で、門番に言う。しかし、門番は、また頭が変な感じになっている奴が来たという表情で、ウィリアムを見ていた……。シャルルもメアリーは、顔を見合わせて、やれやれというポーズをとっていた……。シャルルはメアリーは、自信満々のウィリアムに門番との交渉を任せていた。
「誰なのかもわからない連中を、国王陛下に会わせることなんてできない」
門番は当然のことを言うと、しっしっとやった。
「私が誰なのかだと? 私は」
ウィリアムはそこで危ない危ないという感じで口を閉じた。そして、また口を開き、
「私はタカミ帝国の人間だ。この黒髪がわからないのか?」
と、自分が大国の人間だということを、自分の髪を指さしてアピールした。門番は苦笑いし、
「髪より頭の中のほうが気になるな。それに、その髪はインクで染めたんじゃないか?」
そう馬鹿にする口調でそう言った……。

「なんだと!!! クソみたいな茶髪のくせに!!!」

 ウィリアムはキレた口調でそう言った……。ウィリアムの言葉に、シャルルはむっとなり、メアリーは額に手をやっていた……。
「クソとはなんだ!!!」
門番もキレ、持っている槍を振り回し始める……。

 シャルルたちは、門番の怒鳴り声をBGMに、その場から全速力で逃げた……。



 なんとか逃げ切ったシャルルたちは、城下町のカフェで、カフェオレや水を飲んでいた。もう夕方で、一日の仕事を終えたばかりの人々が、安っぽいワインを飲んだり、新鮮な生ガキを食べたりしていた。
「正面から堂々と会いにいくのは無理のようだな」
残念そうなウィリアム。
「どうするんだよ?」
シャルルが心配そうな表情で、ウィリアムに尋ねる。
「忍びこむことにする」
ウィリアムの発言に、メアリーは納得した様子だったが、シャルルは、
「そんなことできるわけないじゃないですか!!!」
大声で狼狽えた。ウィリアムはシャルルに、しぃーとやり、
「できるさ」
ウィリアムは、朝飯前のことだという感じでそう言った。
「逆のことはもうしましたしね」
メアリーのその言葉に、シャルルは「?」となっていた……。

作品名:愛憎渦巻く世界にて 作家名:やまさん