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愛憎渦巻く世界にて

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 夕方、太陽が西の地平線に沈み始めた頃、なんとか食糧確保を終えたシャルルたちは、たき火を囲んで座っていた。沈み始めた太陽に代わって、たき火の炎が、シャルルたちを照らしていた。
 縛られているクルップと騎士は、シャルルたちから少し離れており、たき火の炎の明かりがあまり届いていなかったので、深くなっていく暗闇に少し心細そうだった。空腹のおかげで、悪態はもうついていなかった。

 海遊びしながらの魚獲りだったが、ゲルマニアの努力のおかげで、さまざまな種類のたくさんの魚を獲ることができた。ココナッツミルクも、クルップと騎士に分け与えてやるぐらいの量がある。
「食べられる魚なんだろうな? 特にコレなんだが?」
ウィリアムは、けばけばしい色彩をした魚の焼き魚を手にしていた……。焼いてあるのにまだけばけばしく、食べられないオーラが出ていた……。
「では、毒見させてみよう」
ゲルマニアはそう言うと、ウィリアムが手にしていた焼き魚や、他の食べられないオーラが出ている焼き魚を手にして、クルップと騎士の元へ行った。

「ゲルマニア様。さっさとあのマリアンヌを殺して、帰りましょう」
「そうですよ。そうすれば、ゲルマニア様の汚名も晴れます」
ゲルマニアが来ると、クルップと騎士は彼女に、マリアンヌを殺せと言ってきた。
「ほら、焼き魚だ」
彼女は、クルップと騎士の誘惑を無視して、彼らに疑惑の焼き魚を食べさせてやった……。
「美味しいか?」
彼女は、焼き魚を食べた彼らの様子を伺いながら、彼らに焼き魚の感想を促した。
「ええ、美味しいですよ」
「私もです。なんという名前の魚なのですか?」
彼らの感想を聞いたゲルマニアは、即座に回れ右をすると、シャルルたちの元へ戻っていった……。

「どうやら、大丈夫のようだ」
戻ったゲルマニアは、シャルルたちに小声でそう告げると、焼き魚を返したり戻した……。
 シャルルたちは安心して、夕食を始めることができた。


「この島のことを知っているか?」
ウィリアムは、自分たちが今いる『トラアン島』についての話を始めた。まるで、修学旅行の夜の怖い話のようだ。
「我が国の領土だということしか知らんが?」
ゲルマニアが、当たり前のことだという口調で言った……。
「なに言ってんのよ? この島はタカミ帝国のものよ」
「え? 私の国の島ではないのですか?」
メアリーとマリアンヌが、当然の反論をする……。

 シャルルたちがいる『トラアン島』がどこの国の領土であるかについては、ムチュー王国とゴーリ王国とタカミ帝国との間で、領土問題となっている……。無論、どこの国も自国の領土だとして、それを前提に地図などをつくっているというわけで、今回のようなややこしい話になってしまうわけだ……。(ちなみに、この小説の表紙絵は、やまさんが中立的な立場で描いたので、どこの国の領土にもなっていない地図になっている。)

作品名:愛憎渦巻く世界にて 作家名:やまさん