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愛憎渦巻く世界にて

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「…………」

シャルルたちは、突然の意外な来訪者に戸惑い、仲間同士で顔を見合わしていた……。
「聞こえないのか!? 食い物をよこせば、見逃してやろう!!!」
クルップは強気の大声で、シャルルたちに再度脅したが、哀れな状態のクルップから恐怖心が沸くことは無かった……。それに、彼の隣りにいる騎士は、ゲルマニアにこうべを垂れている有り様で、その光景はひどくシュールだ……。

 そして、シャルルたちが次の行動に移ったのは、クルップと騎士が武器を持っていないことにシャルルたちが気づいた直後であった……。砂浜で、砂ぼこりと暴言が舞い上がる……。


「おいこら!!! ただですむと思うなよ!!!」
クルップと騎士は、先ほど収穫したヤシの木に縛りつけられていた……。騎士はおとなしくすることにしたようだが、クルップは狂ったように悪態をついている……。
「ジャングルに入って、肉を得ようと思う」
完全な肉食系女子らしいゲルマニアはそう言うと、獣を狩るために、ジャングルの中に入ろうとした。彼女は、まるでランボーのような雰囲気を醸し出していた……。彼女なら、1時間もたたないうちに、プレデターでもかついで戻ってきそうだ……。
「コイツラの見張りが必要だし、危ないからやめとけよ」
「そうですよ」
シャルルとマリアンヌがゲルマニアを説得し、
「百獣の王になって帰って来ますよ」
「いや、野蛮人とガキをつくって帰ってくるよ」
ウィリアムとメアリーが皮肉を言った……。
「しかし、私は肉を食べたいのだ!」
ゲルマニアは、どうしてもだという表情でそう言い返したが、
「海でいろんな魚を獲ってきますから! シャルル様、頑張りましょうね!」
「ああ、頑張って探すよ」
シャルルとマリアンヌの説得に屈してしまった。


「シャルル様、そっちに行きました!!!」
「ハイ!!!」
シャルルとマリアンヌは、夕食の魚を捕まえようとしていた。しかし、ヘタクソな魚獲りで、まだ1匹も捕らえられていなかった……。もはや、ふざけてやっているのではないかと思えるほどだ。シャルルとマリアンヌが魚を追いかけるものの、魚はスイスイと泳いで逃げていく。
 見かねたゲルマニアが、見張りをメアリーに無理やり任せ、魚獲りを手伝い始めた。ゲルマニアが的確な指示を出してくれたことにより、シャルルが1匹捕らえることになんとか成功した。
 それから、1人でココナッツミルクの確保を終えたウィリアムも、後から手伝いに来たのだが、
「えい!!!」
「うわ!!!」
「なにを!!!」
そのころになると、魚獲りは海遊びと化していた……。
 メアリーは、それをやれやれとした表情で眺めながら、ヤシの木の下に座り、クルップと騎士の見張りをしていた。クルップと騎士は、キツめの直射日光にやられて、うめき声をあげていた……。

作品名:愛憎渦巻く世界にて 作家名:やまさん