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あみのドミノ

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6、嫉妬だろうか



週の真ん中ぐらいに亜美乃と会うことができた。数日会わないだけで亜美乃の雰囲気が変わったような気がした。私はたった今飲んだレモンジュースのすっぱい味を感じながら亜美乃の話を聞いている。

「このまえの日曜日にね、デートにさそわれちゃった」
「えっ、誰に」
「会社の男の子」
「ふーん」
「おかしいのよ、その子私と同じ年なんだけど、【デート願い】なんていうメモを私に渡すの。期日とか場所とか、時間とかが社内文書みたいなの。ふふふ、まあ、最初に会った時から気にはしてたんだけどね。大人しく優しそうなんだけど、多分優柔不断なのではないかとおもってたのに、仕事中にそんなメモを渡されたから仕事のことかなと一瞬思っちゃった」

私は目の前で目を輝かせて話す亜美乃を見ている。小さなやや薄めの唇が、その男のものになるのだろうか、私が教えたキスの仕方をその男に教えるのだろうか。しかし、私はまだ余裕があった。たぶん、娘の話を聞く父親のようにおだやかな表情で頷きながら。
「少し離れてからそのメモを見たの。何だか嬉しくなってその男の子鈴木って言うんだけど、彼に向かってニコッと笑ってOKのサインをだしたら、軽く頷いてすぐに何でもなかったように仕事を続けたわ」
「デートしたんだ」

私は苦笑しながら言った。それは予想されたことであったが、少し悲しい。私は亜美乃が若い男の子と付き合うのをダメだとは言えない。しかし、実の娘だったら、どんな奴だ。門限は守れよと言うことはできる。しかし私は娘に別のことを言ったのだった。私は娘の真奈美のことを思い出す。

作品名:あみのドミノ 作家名:伊達梁川