しあわせの音
「お母さん!船越さんをお婿さんにしてあげて!」と、美柚も泣きながら云う。
「船越さん!お母さんをお嫁さんにしてあげて!」と、真剣な表情の芳樹。
「あなたたち、そんなの無理に決まってるわよ!」
料理を始めた美しい母は、振り向いて云った。
「ぼくの稼ぎは少ないけど、ふたりで働けばこの可愛い子供たちを養って行けるよ!」
船越は床の座布団に座りながら嬉しそうにそう云った。
「みんなで新聞配達をして援けるから、愉しく六人家族を始めよう!」と、芳樹。
「賛成!」と、まどかと美柚も座りながら云った。
「大賛成!」と、既にテーブルの傍の詩織。
「夢を見てるみたいだ!」と、芳樹は叫ぶように云った。
「それに就いてはあとでもう一度話し合いましょう。今日は特別な御馳走よ」
「じゃあ、とんかつか海老フライ?」と、手伝うつもりらしい詩織は母の横に立っている。
「不正解。両方よ。それに、クラムチャウダーも作ったのよ」