夜明けの呼び鈴
エピローグ
私は全身の神経を耳に集中し、スタートの合図を待っていた。腰を高くし、全身を撓めたバネにしている。私の左右にいる他のランナーも同様だ。私の視線の100メートル先には、ゴールラインがある。
今の私のゴールはあそこだ。あのゴールに向かって、走る。
改めて、そう自分に言い聞かせる。
秋の爽やかな空気を引き裂くように、スタートの合図が鳴った。私はスタートラインを踏み越えて、ゴールに向かって思い切り飛び出して行った。
完
作品名:夜明けの呼び鈴 作家名:sirius2014